《MUMEI》
また、いつか…
私は車に乗った。



窓を全開にあけ、身を乗り出し、佑伸くんに言った。


「…ありがとう」

「こちらこそ、なにもしてあげられなくて…ごめん」

「そんなことないっ」

「え」

「こんなたくさんの幸せ、佑伸くんのおかげだよ」

「美香…」


「じゃあ…」

「…おう」



「大好きっ」

「俺も大好きだーっ」

「また、いつか…」

「絶対だ」

「うん、絶対…」


涙が溢れてくる。




「あっ!!」

「どうした?」


「悲しくなったり、寂しくなったら、歌を忘れないで…」

「え」



「友美の言葉…」

「…わかった」




「くちびるに歌を…」





車が進んで行く。



佑伸くんが見えなくなっていく。



悲しみを押し殺した。








そして私たちは、前を、未来を見つめた…

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