《MUMEI》

ローブに覆《おお》われ、容姿はおろか表情すらわからないが、声の感じからすると老人だろう。

「任務中の大まかな指示は、このチェルがワシに代わって行うことになる」

……一番後ろからついてきてた人か。

「チェルだ。よろしく、ケータくん」

「こちらこそ、よろしくお願いします。チェルさん」

「こやつは精神感応者《テレパス》。如何様《いかよう》な時でも正確に指示を受け取れるじゃろう」

テレパス……? コンパスの親戚か? 方位磁針のように方角を指し示す……さしずめ道案内の『ソウル』ってとこか。

この老人にも作戦に有利な力があると見て、間違いないだろうな。

でも、オレだけに指示を出すのか?

「あの、指示を受けるのはボクだけですか?」

「色々と事情があるから、アトでワタシが説明してあげる」

キャルが窘《たしな》めるように答える。

「続けてよいかの?」

「……すみませんでした」

「カルグリーナとオヌシには最重要となる任務を遂行してもらうことになる」

老人はテーブルをコツコツと叩き、

「あの二人をここへ」

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