《MUMEI》
甦る刺激
 



違う……。

おかしい……。


『舐めさせて下さい』って言ったのに…。
あんな屈辱的なこと言ったのに…。


『ご褒美』って……なに…?


「なに…する…の?」

恐る恐る聞くと、眞季が微笑んだ。

「お楽しみだよ」

「も…いや……お願い、ちゃんとやるから、もう…できないなんて言わないから…許して…もう終わりにしよ?ね?」

これは…絶望……?
この感情は、なんて呼ぶべきなんだろう…。
嬉しくなんかないのに、楽しくなんかないのに、私は笑いながら眞季に言った。

「ダメだよ陽菜…陽菜のそういう気持ちがなくなるまで終わりにはできないよ…陽菜の全てが僕のモノになるまで終われない……」

笑う私に真剣な眼差しでそう言うと、眞季は机の引き出しから、なにかを取り出した。








眞季が手にした物を見た瞬間、全身の血の気が引いていくのがわかった。


あれは……長い間、私の相手をしてきた物。
兄たちが、よく使って物…。



思い出したくない過去が、一気に甦る。

「コレ、どうやって使うかわかる?」

どうして眞季が、そんな物持ってるの…?

「わからないの?自分が気持ち良くなることは勉強してないんだ…陽菜は僕のことばかり考えてたんだね…」

…やだ……

おかしくなりたくない…

なんでもするから…
お願いします、許してください…



そう…
ただ、そう言えばいいだけ…。




……──違ったっけ?




『玩具でイクとこ見てくださいって言えよ』



頭の中で兄の声がした。






『やだ…ッ、それやだぁああ』

あぁ、そうだっけ…。
あたし…ちゃんと、お願いできなかったんだっけ…。








ブイイィィ───……ン




遠い記憶を辿っていると、部屋に機械音が響いて、私は現実に戻った。

「いや……も、痛いのはいや…」

やっと出てきた声で、そう伝えると眞季が、微笑む。

「大丈夫だよ…気持ちいいから」

違う、そうじゃない。


何をどう伝えたらいいかわからなくて悩んでいると、下半身に今まで経験してきたものと違う刺激が走った。

「ひゃっ!?ゃ、いやああぁぁぁッッ!!!!」

自分の意思を無視したように、体が痙攣する。

「いた…ぃ…痛い」

「痛い?強くしすぎたかなぁ?陽菜は敏感だもんね……」

やっとの思いで伝えた言葉なのに、眞季は微笑むだけで止めようとしない。

「やめ……おねが…っ、や……ぁ、 ああぁッ!!ひぁああっ、やっ…」

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