《MUMEI》

俺の目に映ったものは体に黒い革製のベルトを巻き付けられ、部屋の端に踞る七生だった。
走って近寄る。


「いけない子ねぇ、勝手に入って。
木下君の顔見てたらお仕置きしたくなっちゃう」
今まで何処に隠していたのか鞭を手にした南先生が蛇のような視線で睨んでいる。
静かに扉を閉められた。



「二郎には手ェ出さないで」
腕から半分だけ顔を出して七生が庇ってくれた。
上半身はシャツを脱いでいてベルトが痛々しく食い込んでいる。
腰にまで繋がっていて下半身はどうなっているかと思うだけでぞっとした。

こんなになってるのに俺のことを……


「ほ……、他の先生に言います!」
負けられない思いで睨み返す。


「どうぞ〜、その前にプライドも何もかもズタズタにしてあげる。」
嗚呼、なんて嬉しそうな笑顔だろう。


「そんなことして見なさい。俺、叫びますよ、本気ですから!

その鞭使ったら、こっこっこっ…………殺しますよ」
先生の攻撃から護る為七生を頭から強く抱き上げた。

「反抗する気力も起きないくらいに屈服させてあげるわぁ。」
怖い怖い怖い…………打たれる!
南先生の手から高々と鞭が上げられた。






     ビッ





風を切る鞭の音。

「姉さん止めて」


「……りょーちゃん。」
南 涼太が先生を掴んで止めてくれた。


「自由にしてあげて。」

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