《MUMEI》 一見、勇ましく、聞こえも良いキャルの言葉が妙に思える。 これまでの余裕が消え、気負った印象を受けるからだ。 逆に、さっきまではしゃいでいたキアンちゃんの方は、多少緊張気味だが、どことなく余裕を感じさせる雰囲気を醸《かも》し出している。 なんだろう……この二人の差は。 ちなみにロッドさんは靄《もや》でわかりません。 「ケータ。ワタシの部屋で夕飯食べながら対策でも練ろうよ。ロッドとキアンもどう?」 ロッドさんとキアンちゃんはお互いに視線を交わし、 「いえ、せっかくのお誘いですが……今からキアンと出かけることになってますので」 「そっか。じゃあ仕方ないよね」 「ごめんねぇ〜、キャルちん」 「いいよいいよ。いってらっしゃい」 ――大まかな作戦の流れを聞いただけで話は終わり(細部は戦況により変化するため)、オレ達は会議室をアトにした。 先を歩くキャルを見ていると、言い知れぬ不安が心に忍び寄ってくる。 「オマエ、なんかおかしくないか?」 「えっ? なにもおかしくないよ。変なケータ」 妙なテンションといい、明らかに様子が変だが、本人が「おかしくない」と主張する以上、追求したところで答えは出ないか。 前へ |次へ |
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