《MUMEI》
涙のワケ。
さんざん二人でないた後、龍也くんは自販機に行って私の好きないちごミルクを買ってきてくれた。

「・・・おいしい。」

なんだか気まずくてなかなか言葉が出てこない。

「・・・。俺まで泣いてもうてなんか・・・、かっこ悪いとこ見せてしまったな。」

寂しそうに笑う龍也くんが愛しく感じた。
子どもみたいな、無邪気な彼の以外な顔をみたからかな・・・。撫でてあげたくなるような気持ちに襲われて、龍也くんの頭をクシャっと優しく触った。

「・・・。俺、前の学校でいじめられてたんや。」

突然の告白に言葉がでて来ない。

「でも、仲ようしてくれてた友達もおったから、耐えられたんや。いじめの内容もシカトくらいやったから、馨子ちゃんのいじめにくらべれば全然マシやったんやで?」

前の学校でいじめられてて、それで・・・。

「それが理由で、転校・・・して来たの?」

「いや、単純に親の転勤で来た。友達置いていくのはちょっとアレやったけど、あいつ他にも友達おったし俺と違って明るい奴やったから俺がいなくても大丈夫だったし。そこまで心配は無かったな。」

いろんな話が混ざって混乱する。
龍也くんがいじめられてたなんて・・・。

「聞いても・・・、いい?」

「何や?」

ど、
どうして、いじめられてたの・・・?

私は太ってたし、暗かったし。
いじめの標的にされてもおかしくない人間だった。

なのになんで龍也くんは・・・。

「・・・。前の学校にも、馨子ちゃんみたいにいじめられてた奴がおったんや。つか、いまと一緒や。いじめられてる子助けたら、俺もターゲットにされて。でも、助けた奴はかなりの負けず嫌いやったらしくて、俺に助けんくても1人で大丈夫やったのに!!って言うて俺の前から消えてった・・・。あとあとグレて、不良グループの仲間入り。グループの奴らとグルになって俺をハブりはじめた・・・。」

聞いてる途中でまた泣いてしまった。

「龍也くんは・・・、優しすぎるんだよぉ・・・。」

前の学校でそんなことがあったのに、変わらずその優しさで私のことを助けてくれて・・・。
そんな龍也くんに、私は申し訳ない気持ちと嬉しさで、涙が止まらなかった。

「だから泣くな言うてるやろっ。ホンマに困るねん・・・。俺、前の学校であんなことあってから、裏切られた気持ちでいっぱいで・・・。それから涙もろくなってんねん。あー・・・、また泣いてまうから泣かんでや・・・。」

そんなこと聞いたら・・・。余計に涙がでてくる。

「わたし・・・。龍也くんのこと、す、好きだよぉ・・・。」

気がつかないうちに、私は龍也くん好きを連発していた。

「ありが、とう・・・。龍也くんに、会えてよかった・・・。大好き・・・。」

龍也くんは、黙って私を抱きしめてくれた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫