《MUMEI》 ひそかなサイン大翔の話題で騒いでいると 「んー?なんか俺の話してなかった?」 ひょっこりと顔を出したのは、噂の本人だった。 制服の白いワイシャツに紺色のネクタイをしめた大翔は 目を丸くして私たち女子を見た。 大翔は身長は高いのにそういう表情があどけなくて ちょっとタレ目の可愛い子犬みたいだ。 「え、別に〜?なんすか、そんなに誰かさんに噂されたいすか?」 「はぃ?なにそれ誰かって誰?意味わかんねー」 翼には冷やかされ、ほかの女子にも生あたたかな目で微笑まれた大翔は 居心地が悪そうに明るい茶色に染めた髪をかき混ぜて その時そばに座っていた芹奈をちらりと見た。 うっすらと頬を赤く染めて 髪をさわる仕草にまぎれ込ませるように送られた視線。 そこに含まれた自分へのサインを感じ取って 芹奈は目を丸くした… 前へ |次へ |
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