《MUMEI》 大きな手「なに笑ってんだよ、笑ってんなよなぁ」 大翔の大きな手が伸びてきて、くしゃっと芹奈の髪をかき混ぜた。 「ケッ用がねぇんならアッチいこーっと」 そう言いながら背を向けた大翔の耳は真っ赤だった。 「わかいやすっ!」 「むしろ清清しいね」 「…ってか私笑ってなーい」 大翔にぼさぼさにされた髪を直していると 斜め前に座っていた愛李が「ねぇ」と見つめてきた。 すべすべの手の甲で顎を支えながら、少し唇をとがらせて 「もうじれったいから、芹奈から告っちゃえば?」と言った。 「えっ」「芹奈だって好きなんでしょ?」 あれっと言うふうに愛李は、席に戻って近くの男子生徒と 談笑している大翔を目で示した… 前へ |次へ |
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