《MUMEI》

―12年前―

私の4年に1回の誕生日の日。

雪がしんしんと降っていて私はまだ4歳だった。

家の近くにある「マーシェ」というケーキ屋の前にいた。

お母さんが「理香ちゃんの1回目の誕生日だから大きいケーキ買おうね。」

「うん。」私は大きく笑顔で返事したのを今でも覚えている。

すると同じ年くらいの男の子が店に入って行った。

お母さんがケーキを買っている間に私はその男の子に話かけられた。

「お前、今日誕生日なのか?」凄く乱暴な口調だった。

「うん。」

「実は俺も☆ここ母さんの店なんだ。」

「そーなんだ・・・

話を聞いて分かったこと

名前は橘悠斗。お父さんはいないらしい。

しだいに仲良くなり毎日遊ぶようになった。

「リィ。」悠斗は私をそう呼んだ。まだ4歳だったから「か」の発音が難しくて「リィ」と呼んだのだろうと今になって思う。

「何?」

「俺、引っ越すことなった。」

「え・・・」

それは私たちが出会って4年が過ぎたころ。

8歳の3月の中頃に悠斗はどこかへ行ってしまった。

この4年いろいろあった。

6歳のころ私のお母さんが病気で亡くなった。

元々お父さんがいなかったから今はいとこと住んでいる。

悠斗は「俺がリィの母さんになってやる。」

そう言った。

嬉しくておかしくて思わず笑っちゃった。

悠斗、ありがとね。

また逢いたいよ。


そして今私は高校1年のスタートを切ろうとしています。

もう一度あなたに会えるなら「ありがとう」を言いたいです。

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