《MUMEI》

私は念願の丘の上高校に入学できた。

今その新たな自分と鏡でにらめっこ。

今日は入学式。

「スカート良し。髪の毛良し。」と一人で言っていたら

和佳奈さんに「時間やばいよーーー理香。」と呼ばれた。

和佳奈さんと言うのは母の妹で今の私の母親代わり。

「はーい。行ってきまーす。」

勢いよく家を飛び出し過ぎたのか家の前の道を歩く人とぶつかってしまった。

「すいません。」

顔を上げると同じ制服を着た人だった。

「丘の上高校?」

「はい☆私今日から丘高生になる野々村理香です。」

「よろしく。俺も新1年の相川拓。」

「よろしくです。」

相川君は今日一緒に行くと約束してた松井君が寝坊したからに後でボコるとか本当に面白い話を聞いた。

相川君と一緒のクラスだった。

「理香ちゃん。」

「何?」

「ちょっとついてきて。」

「え?」

言われるがままについて行くとそこは1―5の教室だった。

私たちの1−2の教室の隣の隣の隣の教室だ。

「理香ちゃん。マッツに喝いれにきたんだ」松井でマッツと呼んでいるらしい。

「本当にするの?」

そう話してたら

「野々村、ちょっと来い」担任に呼ばれた。

「また後で松井君のこと聞かせて」

「おぅ」

そう言って私は先生のとこへ行った。

「おぅ、マッツ」

「あれ?さっき女の子と一緒じゃ・・・」

「お前が今日朝来なかったから俺は理香ちゃんと2人で来れたんだ。」

「あ、朝はごめん。あのさー理香ちゃんってもしかして野々村理香?」

「何でマッツが知ってんだよー。」

「やっぱり。雰囲気が似ていると思った。」

「てか俺の理香ちゃんとどういう関係?」

「俺の理香ちゃんって(笑)ただの知り合い。」

「へー。」

私は結局先生に居残りで手伝いを頼まれみんなより2時間遅く帰ることになった。

学校は静かだった。

昇降口に行くと一人男子がいた。

(もしかして相川君・・。疲れているのにあのテンションはきついよ)とか思ってた。

(いや、相川君じゃない。)

名札に「松井」と書いていた。もしかしてと思い

「もしかして相川君と仲良い松井君ですか?」と言った。

「あ、うん・・・。」

「相川君なら帰りましたよ。」

「うん。」

「何しているんですか?」

「もう8年も経ったもんな。忘れてもしかたないか・・・。」

「えっ?」

「リィは忘れっぽいし(笑)」

「リィって・・・悠斗しか呼ばない・・・。」

「俺が悠斗なの。松井悠斗。5年前、母さんが再婚したんだ。だから今は橘じゃねーけどさ。」

「嘘だ・・・。悠斗は遠くに行ったもん。」

「嘘じゃないよ。」

そう言って悠斗は思いっきり私を抱きしめた。

「逢いたかった、リィ。」

思わず泣いてしまった。

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