《MUMEI》

「みんなコレ食べてんの?」

「こっちの人達は食事しないよ。魂の存在だし。ワタシはさっきつまんできたけど」

「え? じゃあコレなに? ってかオマエ食べたの!?」

キャルは自分を指して、

「今は井下和美《いのしたかずみ》よ? 食べないと死んじゃうでしょ?」

「あ……そうだったな。で、どうだった? 初めて食べたんだろ? コレ」

「……」

ニッコリ笑っているだけで何も答えない。……また『だんまり』か。

明らかに怪しいだろ!

「ったく、この水も飲めるから持ってきたんだろうけど、ホントに大丈夫か? アトになって腹でも壊したら明日の訓練どころじゃねぇぞ?」

「……」

「ウソでも大丈夫って言えよ! 不安になるだろ!?」

「……うるさいわねぇ。訓練なら腹を壊してもやってもらうから大丈夫よ」

「いや、そこは心配しろ」

「アンタのことは別に心配してない」

「しろよ! 体調悪いまま『奴等』と戦うハメになってみろ……任務失敗で世界の危機だ」

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