《MUMEI》
情事…
「ゆう、ゆう……」

「ぁっ…、はぁ――っ……ンッ、なおっ、なおっ……」








俺は必死に、



恋人…



蓮田直哉の背中にしがみつく。





――高校時代から続く俺達の関係。




きっかけが今だに良く分からない。




いつの間にか抱かれる様になっていて、彼に気がつけば恋人扱いされる様になっていた。








――実は俺、今まで恋をした事が無い…。







この食べ物が好きとかこのアーティストが好きとかそんな感情はガッツリ有るんだけど、恋愛感情だけが何故かぽっかりと欠落している。






初めて自分を求めてきた相手がたまたま男だっただけ。



性別のこだわりを考える暇もなく抱かれ初めてしまったから…。





「四つ這いになれよ」



「ハァ、…ハァ…」




恥ずかしいなんてもう今更ない。






俺はゆっくりとうつ伏せになり、枕に頭を埋める。






腰だけを高く上げて…




「あっ!あっ!あっ!」





パンパンと肉を打ちつける音。






くちゃくちゃな水音。





繋がった全身を一気に脳まで揺すられる激しさ…。





「ゆう、ゆう、好きだ、好きだよ、愛してるよ……」






激しく俺を求めながら直哉は俺にいつもの台詞を吐く。



…俺も






「はあぁ、なお、なお、好き、好きっ……あっ……」




俺は快楽に対して…、好きと台詞を吐く。








――罪悪感で…心が




痛い。

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