《MUMEI》
余計な事
「ふむ…。まぁ、トラックの運転手の証言と一致してるし、事故という事には違いないだろう。」
刑事のペンが漸く進む。
しかし、そこには『前方不注意で道路に飛び出す』としか書かれておらず、真弓の異変については何も書いていなかった。
「あの…」
「ご苦労様!もう帰って結構だよ。」
「……………はい。」
井上は言いかけた言葉を飲み込んだ。
睨まれたのだ。目の前にいる刑事に。
彼は、『これ以上、余計な事を喋るな』と言いた気な目をしていた。
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