《MUMEI》
真実
ここはどこ?
からだを起そうとした瞬間痛みが走った。
「痛い!」
その時、誰かが近づいてきた。
はっ!どうして?
「け、鎌司君?」
バシッ!
「痛い!」
今度の痛みは鎌司君が私の頬をたたいたもの。
へ?
「お前、どこ見て歩いてんだよ?馬鹿じゃねえの?」
その時、私は思い出した。ここは病院。
私は事故に遭った。
あの時は頭がいっぱいで、信号が赤だった事に気づいていなかった。
「もしかして、私をここに運んでくれたのは鎌司君?」
「今はそれが問題じゃないだろ!」
怒鳴られた。
「なんで、信号が赤なのに渡ってんだよ!死にてえの?」
なんでって言えるわけないよ・・・
「おい、答えろよ。」
「・・・・・。」
「俺聞いたんだよ。女子達が俺達の事しゃべってたの。」
「えっ?」
聞いてたの?あの話全部?
「お前、その事考えてて事故ったの?」
私は、静かにうつむいた。
「マジかよ。何で、あんな振られ方したのにまだ覚えてんだよ!」
「忘れられるわけないじゃん!」
(ハッ!何言ってるの、私。)
「どういう意味だよ?」
「もう、いいから!鎌司君のせいじゃないから!ただでさえ、迷惑な告白して、
罪悪感、感じているのに、なぜ事故の事まで鎌司君のせいにしなくちゃならないの?
どれだけ私を悪者にすれば気が済むの?もう、嫌だよ。これ以上私を苦しめないで!」
(!あぁ、何で逆切れしてんの?もう、バカ。)
「何、逆切れしてんだよ。」
へぇ?
「お前が苦しむとか知らないし。そうだよ、迷惑な告白したうえに、俺のせいで事故に遭うとかなんだよ?
自分だけ苦しいとでも思ってんの?俺だって、自分のせいで事故に遭った奴ほったらかして、罪悪感ぐらい感じんだよ。
どれだけ自己中なんだよ!」

その時、誰かが入ってきた。
「お父さん、お母さん。」
「美嘉!」
「お前か?俺の娘を事故に遭わせたのは!」
「お父さん!違う、その人は―」
「美嘉は黙っときなさい。」
「そうです。」
えっ?
「美嘉さんが事故に遭ったのは僕のせいです。」
バシッ!(はっ!あり得ない、あの優しいお父さんが、鎌司君に手を上げるなんて。)
「お父さん、やめて、その人は何の関係もないの!」
「いいえ。僕のせいです。だから、美嘉さんの入院中は僕が看病します。」
はぁ?な、何言ってるの?
「娘を事故に遭わせた当事者に任せられると思うか?」
「任せてください、命を賭けてでも美嘉さんの安全、保証します。」
その後、2人は1分ぐらい見つめあって、お父さんが言った。
「分かった。美嘉、必要なものは後からお母さんが家から持ってくるから。」
えぇっ!
「ちょっと、お父さん!」
「美嘉、また来るから〜。」
うそ、…帰った。私は恐る恐る鎌司君を見上げた。
「もう、11時だな。喉乾いたか?ちょっと、待ってろ。水持ってくる。」
やばい。私、あまりこの言葉使わないけれど、この状況にふさわしい。
どうしよう・・・あぁ、寝たふりしよっ。
「がちゃっ」あ、戻ってきた。
「あれ、寝た?」
その瞬間だった。
鎌司君が、私の髪をなでてしゃべりだした。
「ごめんな、お前がそんなに苦しんでいたなんて知らなかった。
でも、これだけは我慢しろ。お前は俺と付き合ってはいけない。
俺も、お前と付き合う事は―出来ない。」
(どう言う事?)その日は一日中ドキドキして眠れなかった。

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