《MUMEI》

「アンタにそれほどの力があるとは思えないけど、世界が危険に曝《さら》されるのは避けたいわね」

「お? わかってくれたか」

「うん、わかったわ。それじゃあ召し上がれ」

「わかってねぇし、答えにもなっちゃいねぇ」


――なんだかんだ言っても、結局食べることになってしまった。

訓練や『戦い』が控えているのに飲まず食わずはさすがにマズイから、仕方なく。

「いただきます」

「どうぞ」

器に盛られた謎の固形物を一つ取り、口に運ぶ。

ガリッ! と、石でも噛んだような音と共に物体が砕け、咀嚼《そしゃく》するたびにジャリジャリジャリジャリと砂でも食べている感じだ。


「どう?」

「うん……。砂利《じゃり》?」

「……」

「わーっ! まてまて、ちがうちがう!」

彼女がまたオレの肉を抓《つま》みにくるので必死に抵抗する。

これ以上やられたら裂ける!

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