《MUMEI》
トイレ
入った私は、安心した。


けど、それは本当に一時的なものにすぎなかった。


鍵がなかったのだ。


あまりの衝撃的なことに私は、「鍵ないじゃん」と叫んでしまった。


無理やりドアを開けようとする力にかなうわけもなかった。


狭い個室の中、抱きつかれた。

170cm以上ある彼に対して150cmちょっとの私は視界が暗くなる。


暗所恐怖症と閉所恐怖症の私は、恐怖がましていた。


「部屋行こうか」

頭が真っ白だった。


人間不信だった。

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