《MUMEI》

もう一度見たがそれはさっきと同じだった。

「人によっては゛幸せ ゛の字の前に゛不゛という字が見える人もいるの。
あなたの不幸売ります、買います。ってね」

もう一度見たがそれはさっきと同じだった。



あたりまえだ。



「あなたは幸せと見えるんだったわね。だったら幸せを買う気はない?ここにしかないわよ」

その女の手が私の顔の前に差し出された。
その手はもう綺麗だと感じれなくなっていた。
じゃんけんでいう゛パー ゛ここでは……

「5万円でどうかしら」

−−−高い!!いや安くても買わないけど。

「良い買い物だと思うわよ」

少し迷った。ほんのちょっと。でも気付いた時には返事をしていた。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫