《MUMEI》
もう一度見たがそれはさっきと同じだった。
「人によっては゛幸せ ゛の字の前に゛不゛という字が見える人もいるの。
あなたの不幸売ります、買います。ってね」
もう一度見たがそれはさっきと同じだった。
あたりまえだ。
「あなたは幸せと見えるんだったわね。だったら幸せを買う気はない?ここにしかないわよ」
その女の手が私の顔の前に差し出された。
その手はもう綺麗だと感じれなくなっていた。
じゃんけんでいう゛パー ゛ここでは……
「5万円でどうかしら」
---高い!!いや安くても買わないけど。
「良い買い物だと思うわよ」
少し迷った。ほんのちょっと。でも気付いた時には返事をしていた。
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