《MUMEI》

一人になれた事によって冷静さを取り戻せていくのが分かった。

一人で考えていたってしょうがない。
それに佳代を心配させたままでは申し訳ない。
二人に今日のことを話そう。
秘密にしておく理由がない。


暫くしてノックが聞こえた。
と同時にドアが開かれる。

−−−これはいつもと同じ。ノックする意味なんてほとんどない。


゛やっ゛といつも通り靖子は声を掛けてきた。

「靖子一人?」

「うん。早紀が元気ないって聞いてさ。どうかしたの」

「うん。あのね……あっ佳代にも話しておこうと思うの。佳代は?」

「私の部屋にいるよ。呼んで来るね……あっそれより私の部屋に行こうか」

靖子は今年の夏の部屋替えの時、当たりを引いた。
当たりというのは、一人部屋のこと。
私達の学年で一人退学した子がいたため、本来の2人部屋を一人で使うことができる。
「うん。それじゃあお邪魔するね」

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