《MUMEI》

「そ、プレイン≠ゥら来た人達のためにね」

「えっ!? オレの他にも誰かここに来てんのか?」

「違うわよ。昔は稀《まれ》にこっちに来たりしてたから、そのための保存食なの」

昔は表と裏の交流があったってことか。どれぐらい昔なんだろう。

「昔ってどれぐらい昔なんだ?」

「ん〜、ワタシも人から聞いた話だから詳しくは知らないけど、大体二、三十年ぐらい前まではこっちに来てたって」

「二、三十年前か」

予想してたよりずっと最近だな。

でも、何のためにヴェイグ≠ノ? 昔もこんな形で争いがあったのか?

「なぁ、なんでその人達はこっちに来てたんだ?」

質問が悪かったらしく、彼女はばつが悪そうに顔を伏せ、黙り込んでしまう。


「勧誘を……受けたのよ。『融合』して力を得るために。もちろんお互いの承諾《しょうだく》を得ないといけないけど、今のヴェイグ≠ニ違って無秩序だったのかもね……」

重い口を開いた彼女はしかし俯《うつむ》いたままだ。

こういう話を聞くと、時代の流れを感じずにはいられない。が、

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