《MUMEI》

「無秩序ねぇ……。わからなくもないけどな、その『力を得たい』っていう気持ちは」

「えっ!?」

驚いた声で彼女が顔を上げる。

「ん? 変なこと言ったか? オレ」

「ううん。別に……」

何かどんどん場の空気が重くなっているような気がし、他に話題でもないかと思考する。

「あ……『融合』で思い出したけどさ、なんで『もう一人の自分』を見つけ出すことができるんだ? オレの時もそうだったけど」

「プレイナー≠ノは感じ取ることができないモノをヴェイガー≠ヘ本能的に感知することができるの。もっとも、詳細な位置を知るにはイシュの力が必要になってくるんだけどね」

「へぇ〜」

本能に力……か。

おもむろに視線を床へと落とす。

オレも力を手に入れなきゃダメなんだ。力が欲しい。力が。

保存食に目をやり、鷲掴《わしづか》みにすると自分の口に無理やりねじ込む。

栄養があるんだったらしっかり食べないとな。明日のために!

「オマエも食べろよ。井下《いのした》さんが死んじまうぞ」

脇目も振らず、一心不乱に食べ続ける。

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