《MUMEI》
出勤。
いつもながらの事なんだけど、寮内の朝はなかなか騒がしい。
「……………………………………ん」
時計を見る。
まだ、6時15分じゃないか…
昨日は4時に寝たんだ…もう少し寝かせろ。
「……はぁ…」
起きろと。
はいはい解りましたよ。
きっと運命は今僕に起きろと言っているんだ。
まぁ僕は運命なんて信用しないけど。
僕は起床早々二度目の大きな溜息を吐いた。

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

「おはようございます」
「ん。」
特殊案件課に向かう途中、他の課の人間が挨拶してくる。
眠いから適当に対応。
断じて感じ悪くはない…筈だ。

ま、そうこう考えてる内に特殊案件課に到着した。

ガチャ

「…おはよう」
「相変わらずテンション低いなー」
僕に一番最初に話しかけたのが森本唯人≪もりもとゆいと≫さん。
ひょうきんなお兄さんだ。この課では数少ない話が通じる常識人。
一応教職員で、28歳。
「お前の事だ、昨日寝てないんだろ?」
「…寝ましたよ。4時に。」
僕は欠伸をしながら答えた。
「2時間ちょっとしか寝てねぇじゃんかよ」
唯人さんが呆れ口調で言った。
「寮内うるさいから寝れないんですよ…」
「あー…確かになぁ…」
唯人さんと会話をしながら自分の席に座る。
昨日書類を全部片付けたから机の上には殆ど物が無い。
…うん、やっぱこうだよな。

ガチャッ

あ、誰か入ってきた。
挨拶をしようと振り返ったら…
「………………………………」
…ぅわお。怖っ!
特殊案件課課長の相野千里≪あいのせんり≫。
上下関係とか無いから呼び捨てにしてたりする。
本日の課長の寝覚めは最悪なようです。
「…はよ、千里」
恐る恐る唯人さんが挨拶をしてみる。
「………あ"ぁ?」
ものすごい形相で唯人さんを睨む。
「…おぅ、なんかごめん…」
唯人さん怯んだ…
まぁ僕もビビったけどね…

…そういえば、朝御飯食べてないな…
まぁいいや。

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