《MUMEI》
不安
駅の薬局
「高校生が検査キット買うなんて恥ずかしいよ…」
変な目で見られるかも知れないし、もしかしたらコートもなにも羽織らずに制服だから学校特定されたりして
「いらっしゃいませ」
「あの…」
小声で呟いたけど店員さんに届いてなくてよかった
「えーと検査キット…」
私が売り場を探すと、かなり際どい場所にあった
「うわっ…」
よりによって大人の玩具売り場の横にあった
「恥ずかしいよ…」
自分の体のためだ仕方がない。適当に検査キットを手に持ち、レジに行く。
「いらっしゃいひぃ…」
店員は女の人、相当あたしの視線が殺伐としていたのかとても驚きの表情だった
「にっ二千円です…」
「はい…」
「ちょうどもらいます」
「ありがとうございました…」
「何こうとるんや…」
あの関西弁はもしかして。
「榊…」
「ん、なんやお前まさか妊娠したんか…」
「ちっ違うわよ!!妊娠なんてしてるわけないでしょー」
「せやなこんな凶暴女の腹から生まれた子供が可哀想や」
「な…そこまで言うかエセ関西人」
「なんやエセちゃうわ…」
くだらない関西人に見つかってしまった。
まさかこいつに五十嵐と別れたって言ったら
笑われるだろう。
「お前、五十嵐とどうなん…」
「うん順調…」
突然、榊の顔色と声色がおかしくなる。
「やっぱり俺やのうて、五十嵐か…」
「え…」
「五十嵐って相当遊んどるらしいからな…お前も黙されんようにな…」
五十嵐が遊んでる、「弄びの五十嵐」「危険人物」
五十嵐が何回も捨ててきた女の子から必ずと言っていい程出るセリフ。
ふと見渡すと榊はとっくにどこかに行っていた。
「榊!榊!」

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