《MUMEI》
おまけ
「あれー?俺があげたストラップは?」

桜色の携帯電話からぶどうのストラップが消えて二日後。

授業の間の休み時間に芹奈の席にやってきた大翔が

ひょっと眉を上げた。

携帯電話をうっかり机の上に出しっぱなしだったから

気づかれてしまったようだ。

あの小さなぶどうのストラップを大翔に貰ったのは

まだ中学生だったころだ。

学校の帰りにコンビ二で一緒にジュースを買った時

大翔のペットボトルに付いていたおまけがあのぶどうで

『かわいいー』と指さすと、大翔は笑って芹奈の手のひらに

のせてくれた。それからずっと携帯電話の

ストラップはあのぶどうだった。

「ごめーん、あれ踏んで壊しちゃったんだ……」

「あーそうなんだ。まーあれ、ただのおまけだしな」

気にすんなと言うふうに笑った大翔は

「あ、そーそー」と鼻の下を触りながら続けた…

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫