《MUMEI》
五十嵐
女子トイレ
「うそ、マジで」
「妊娠の可能性大だって」
「うわあ…」
とうとう、柚子が妊娠したかもしれない事件は広がった。それは、誰一人、知らぬ人間はいなかった。しかもそれは、五十嵐にも知られてしまった
「亮…」
「みさと…」
一方、五十嵐はベンチで派手な女子とくつろいでいた。
「おい、聞いたか五十嵐!」
「ちっなんだよ!るせーな…」
「お前が弄んだ女、妊娠したってよ…」
隣にいた女子は目を見開き
「はぁ?お前?馬鹿じゃない」
「そっそれは…」
パシン、女子生徒はビンタをし、廊下を走り去った
「あいつか、覚えてろよ…」
俺の女遊びの一時を潰しやがって、自分でもわかってるのか。
「ちょっくら痛い目に合わせてやらあ…」
「は、五十嵐!」
「俺、あいつを強姦しにいく」
「何考えてんだよ!犯罪じやねえか!やめろよ」
五十嵐は興奮を隠しきれないようすで、二年の教室に向かう。
「やばいよ…」
「くそっ…ばれたか…」
その動機は、昨日の生徒だけ配られる日和台新聞の一面であった。
二年 二組 出雲 柚子 妊娠!
とかかれた派手な記事だ、榊は、新聞を取り出した。
「くっそーこれ書いたん誰や!」
榊は、苛立ちをかなり溜め、怒りは頂点に立っていた。
すると、逆方向には五十嵐が来る。
「きゃあ、五十嵐くーん」
その叫び声はまだ五十嵐と交わった事がない少女達の叫び声だった。
「あいつ、許さん…」
「ちょっ…」
すると目の前に柚子が来る。
「待てよ!糞五十嵐!!」
「ちょっと、糞五十嵐なんて可哀想じゃない」
「謝れよ」
あたしは、所構わず責める五十嵐ファンを無視して、反論する
「おい!てめぇ…」
「あん…」
その憎たらしい目、したり顔そうこいつが、
騙し男五十嵐。

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