《MUMEI》 遠藤優太は面白くなさそうに、ちぇっ、と舌打ちすると、テレビ前に座る 須佐男に近ずき、 よう!糞ガキ元気か? 頭の上に足を乗っけて、 まるでボールで遊ぶように ぐりぐりと回す。 須佐男はされるがままになっている。 挨拶せんか挨拶を、最近のガキは礼儀がなってねーな。 あなた須佐男に構わないで!雪子が少し苛立って叫んだ。 優太はトン、と足を離すと、ああ、またパチンコで5万スッちまったぜ! 「え?」雪子が呆然と優太を見る。 あなたこの前もそんな事言ってたけど、あたしのパート代だけでどれだけの稼ぎだと思ってるのよ!仕事を探してるって話はどうなったのよ?! 「うるせー!」優太が 怒鳴った。 今は不景気の就職難だぞ、そう簡単に見つかってたまるかよ!俺はお前の行方不明の前の旦那みたいな博士さんとは違うんだよ。 前へ |次へ |
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