《MUMEI》
気持ち
五十嵐とけりをつけて、病院に戻る。出雲の家族に目を合わせて、挨拶して帰っていった
最終の面会時間。
「あれ、来たの…」
「さっきも来たで…」
「知らんかった、ってあれあんたのせいで大阪弁伝染ちゃった…」
「なんでやねん」
一瞬、隣の人にむすっとした視線を向けられるが、いいムードになった。後は告白するだけや
恥ずかしいけど頑張らなあかん。
「あーあ、テレビ見るもんない…」
「ちょっと売店行ってくるわ…」
「何、買ってくんの…ご飯、外で食べなよ」
「いんやプレゼント…」
俺は病室を去り、売店で折り紙とチョコレートとおむすびを買う
「えーと千羽鶴折って、チョコレートとおむすびつつんで…」
俺はこっそり図書室で、折り紙をおり、チョコレートとおむすびを包装する。
「できた…」
いかにもいびつな形をしているが、まあ文句はいわんやろ。すると
「すみません只今入浴時間に入りますので一時
面会を断絶してもらっております…」
看護婦さんに言われ、渋々図書室で待つ
「あ、おいたん、おいたん…」
「なんや…」
「おもちろいこといって…」
「はあ?」
男の子が突然話しかけてきた
「こら、かずきちゃんとふきなさい!またぶり返すわよ、すみませんね…」
「はい…」
すると、柚子が現れた。
「きたわよ、お馬鹿…」
「おお…」
濡れた髪がとてもしなやか。
「なあ、まずええか、もう時間もないしな…」
「ん?」
「おっ俺、柚子の事好きや…つきおうてくれ」
「うん…」
そういい、柚子は病室に戻った。
「なあ、ええんかー」
「何回も言わすなよいいって」
「ああ」
エレベーターに乗り病室に去った。今日から俺と柚子は結ばれ、家に帰った。
「ふふ、変な形…」

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