《MUMEI》

「アンタってマイペースね……」

「焦っても仕方ないだろ? まずはできることからやらないと。それに、なんとかなりそうな気がするんだ、オレ」

「はぁ? 根拠でもあるっての?」

「ない」

「……大物になるわ、アンタ」

部屋を出る前に、渡されていた衣服に着替える。

丈夫そうな生地で出来た紺色のズボン。股上が丁度隠れる長さの白いローブを幅広の帯で締《し》め、グラディエーター風の靴に履き替える。

これは組織の人達が着用しているのと同じモノだ。

ドアを開け、彼女の小言に耐えながら拠点を出る。

「ここは?」


――直径、数百メートルはあろう平地に、周辺を脱出不可能とばかりの絶壁に囲まれ、まるで巨大なプリンの容器だ。

その中央付近にジュードさんがいる。

「ここはアンタを拷問《ごうもん》するのにうってつけの場所よ。覚悟しとくのね」

「拷問ってなんだよ。ってかここで訓練すんのか? 拠点からすぐの場所じゃねぇか。結界が――」

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