《MUMEI》

全然優しくない優太は、
おら邪魔だよ、どけ!
須佐男の背中を足でこずくと部屋のタンスの物色を始めた。
おい通帳どこだよ通帳は。現金でも構わねえけどよ、確かここらへんにあっただろ?
そんなのいつもあなたが勝手に持ち出すから、違う場所に移したわよ。
「何ーーっ?!」
優太の顔色が変わった。
「俺はこの家の大黒柱だぞ。一家の主から通帳隠すとはどういう了見だ、
ああ?!」
何が主よ?仕事もしないでお金ばかり持ち出して、あなたなんかただのヒモじゃないの!
おいおい人聞き悪い事言うなよ。旦那に逃げられて中小企業の工場で上司にセクハラされてたのを助けてやったのは誰だよ?それにお前だってその女ざかりの体を癒すのに俺無しの生活なんて考えられねーだろーが?
「四の五の言わずにさっさと金出しやがれ、このアマー!!」
優太が雪子の頭をはたき、きゃあ!と悲鳴が上がる。

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