《MUMEI》 ジュードさんは深刻そうにオレを見ている。 しかし彼が言わんとすることは大体分かっているつもりだ。 「努力します」 「そうだね……続けようか。ヴェイガー≠ヘ精神エネルギーが剥《む》き出しの状態にある。つまりキミが『ソウル』を使用するためには、肉体から精神エネルギーを放出しないといけないんだけど……、ちょっといいかな?」 「?」 彼はオレの手を取り、自身の胸に押し当てた。 何をする気なんだ? 「キミは今、ボクに触れている。だけどこれは、ボクが触れさせているに過ぎない」 「それって……」 「本来『ソウル』を使えないキミは、ボクの姿を見ることはおろか、触れることさえできないんだよ」 「……」 「こんな風にね」 触れていた手が彼の身体をすり抜け、その拍子《ひょうし》にバランスを崩してしまう。 ホントに、触れないんだ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |