《MUMEI》

「上等だー!この糞ガキャーーッ!!」
須佐男の腹で爆発したような衝撃が弾(はじ)けた。
優太のまるで手加減と言うものを知らない蹴りが、須佐男を後ろの押し入れのふすままで吹き飛ばしていた。
「げぐうーーっ」
ぶつかった衝撃で、破れ目の入ったふすまの前で白目を剥いて横に転がる。
「須佐男に暴力ふるわないでーー」
雪子が優太の腰にしがみつき叫ぶ。



「次回、壊神Zにガイアの遺伝子改造人間サソリマンが襲いかかる!!
ゼット、絶対絶命のピンチ!!果たしてゼットはサソリマンを倒し、我らの青い地球をガイアの魔手から救う事ができるのだろうか?!」
予告編が流れ、画面には
人間とサソリが合体したような怪物が大写しになった。
サソリマンの尻尾の毒針を背中に突き刺された
壊神Zが、俯(うつぶ)せでもがき苦しんでいる。



「もう一回さっきのセリフ言ってみろや。
おらーーっ!!」
優太がまた腹を蹴ると、横たわる須佐男の唇から胃液がこぼれた。
い・・・・息が出来ない・・・・須佐男は急速に意識が暗い世界に落ちていこうとするのを感じていた。
「おおげさに苦しむふりしてんじゃねーよ」

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