《MUMEI》

「じゃあね、兄ちゃん」

手を振りながら教室に入っていく奏多。
それを見届けて俺は、自分の教室がある校舎に昴と一緒に向かう。
奏多の通っている幼稚園は西華学園幼稚部である。
この学校は幼稚部から大学までエスカレーター式なのだ。

「いつ見ても奏多くんは可愛いな」

ぽつりと昴が呟く。

「まぁ、真琴の方が可...ぶはっ」

昴に一発蹴りを入れてやった。
余計な事を言わなければ蹴りなんて入れられなくて済んだのに(笑)
学校に行く時はいつもこんな感じ。
校舎に着くと掲示板前に生徒が群がっていた。

「クラス発表されてるな!!俺、何組かなー??」

昴が掲示板の方に目をやりながら自分の名前を探している。

「俺は…」

俺も自分の名前を探す。
すぐに俺の名前は見つかった。

「1組か…。」

「真琴と同じクラスだ!!」

昴が嬉しそうにキモい笑顔を浮かべながら俺の隣で喜んでいる。

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