《MUMEI》

「いいえ。決してありえない事ではありません」
白衣の男が言った。



画面の中では被験者が目覚めて上体を起こし、
呆然と周りを見回している。首筋の裂け目から
吐瀉物(としゃぶつ)のようにドボッと水が溢れる。



白衣の男が続けて言った。
「人間と言うものは本来誕生する前に、母親の
胎内において、単細胞生物、魚類、両性類、哺乳類と、数億年の生物進化の過程をわずか数カ月でたどって生まれて来ます。本来使用される事の
無かった遺伝情報が、
被験者の命の危険を受けて、ナノマシーンの分子手術で引き出されたものと思われます」
「つまりこう言える訳だな」
仮面が言った。
「被験者にある特定の命に関わる試練を与える事により、それに反発抵抗する生存のための力が、ナノマシーンにより引き出されると・・・・」
他の仮面達も次々に感嘆の声を上げる。
「素晴らしい!」
「超人兵士を生み出す事も可能だぞ!」
「実用化すれば、我がGODグループが他の軍需産業と差をつけて、トップへと抜きん出る事は
間違いない!!」

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