《MUMEI》
それでも足は動いた。
星をにらんで歩く歩く歩く歩く…
風の轟音。
長引く影。
扉にたどり着かなければ。
扉。
ふと思う。
扉に達する道は星と同じ方角か…?
立ち止まる。
辺りを見回す。
本当に星をさしていいのか…?
右手の遠くで
低い雲が手招く形をしているように見える。
左から吹きつけた吹雪の轟音に
何かの呼び声が聞こえる気がする。
星に目を戻すが、
一度目を離してしまったために
もともとどこに星があったのかをすでに見失っていた。
緊張と焦りで不気味に体が熱くなった。
寒さ以外の理由で手足が震える。
ふりむくが影はない。
見回すが星はない。
頭は働かない。
体も動かない。
感情だけがせわしくせわしく暴れていた。
とにかく立ち尽くしては無駄に消耗する。
ふと背後で何かが動く気配がした。
前へ
|
次へ
作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する
携帯小説の
無銘文庫