《MUMEI》 周囲を見渡すがジュードさんの姿はなく、キャルだけがヒマそうに辺りをうろついていた。 彼女にでも見てもらうか。 「おーい! キャル! こっちに来てくれよー!」 チラとこっちを見た気がしたが、聞こえてないのか? またうろつきだした。 聞こえてなかったようなのでもう一度彼女を呼ぼうとした時―― 「すまないケータくん。ちょっと用事があってこの場を離れてたんだ。練習はうまくいってるかい?」 「あ、はい。でも自分じゃ判断できなくて……見てもらってもいいですか?」 「もちろんだ。見せてくれ」 ――黒い瘴気《しょうき》が全身を覆《おお》うように現れる。 「どうですか? ジュードさん。まだ遅いですか?」 「いや、ボクから見ても十分速いよ。これならすぐにでも次の段階に進めそうだ」 「ホントですかっ!? ありがとうございます!」 満足そうな表情を浮かべるジュードさんに対し、キャルは何か不満でもあるのだろうか……険しい顔でこちらの様子を窺《うかが》っているようだ。 前へ |次へ |
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