《MUMEI》

呪理奈はパドックを周回する馬を眺め、1頭の栃栗毛の馬を指さした。


呪「こっちのヘヴィローテーションのほうが面白ぅない?

…父アキモトヤッサン、母タカイマミマミ、血統的にも魅力やしぃ、このレースなら逃げの脚質もハマるだでょ。」


※JRA・日本中央競馬会の馬名命名規約では“ヘヴィローテーション”のようにカタカナ表記で9文字を超える馬名をつけることはできないが、これは悪趣味なフィクションなので、あえて無視する。


霊奈は首を横に振った。


霊「アカン…。名前が気にくわん…。」


呪「やんやそれ…。」


その時――…


*「第8競走、投票を締め切りました。まもなく発走です。」


中京競馬場の場内アナウンスが流れた。


霊「おっしゃ!行こか!」


呪「アタシ、パス…。

…ここで次のレース考えるゎ。」


霊「そーかぁ、じゃアタシ、コース脇で観てくるゎ…。」


霊奈は一人で中京競馬場のメーンスタンド前の広場に歩いていった――…。


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