《MUMEI》

「……ケンカの訪問販売はお断りだ」

「そうじゃないわ。ちょっと心配で訊《き》いてみただけよ。で、どうなの?」

確かに、冗談やケンカを売りに来たという感じではなく、本当に心配しているような雰囲気だ。

「別に、どこも悪くないよ。ちょっと疲れた感じはするけど……今は少しでも早く次の段階に進みたい」

「……そっか」

それだけを言うと、彼女はまた周辺をうろつきだした。

昨日にしろ今日にしろ、どうしたってんだ一体。

それに休憩しようにも彼女の様子が気になってゆっくりできやしない。

こうなったら問いただすしかないと、うろつくキャルに近づいていき、

「なぁ、キャル――」

「おはようございます。ケータさん」

「うぅわあぁぁ――――っ!!」


いきなり正面に現れたロッドさんを見て腰が抜けそうになる。

この人、ワザとやってんのか? もっと普通に現れてくれよ。

……はっ! まさか……『奴等』と戦う前にオレを殺そうと企《たくら》んでいるのか!?

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