《MUMEI》

「確かにぃぃ!」滝のような涙が流れ落ちている。
「確かに天狗ちゃんは、ちょっと早漏気味だし、ちっとも私をイカせてくれないわ!でも慣れればぁー、きっと慣れさえすればーっ!持続時間だって伸びると思うのーーっ!だからっ!だから
天狗ちゃんの皮剥いで殺すなんて言わないでーーっ!!」
「誰も殺すなんて一言も言うとらんがな」
溺愛する孫娘の血の絶叫に、さすがの閻魔ハデスも普段の恐ろしい顔を
和らげている。
「え?!」
天狗丸がダキニの胸から顔を上げた。
「おおかた先に誘惑したのはダキニのほうじゃろうて。二千年もの間、
人界で男を狂わせてきた妖婦の誘いを退けろ、と言うのも酷な話よ」
「じゃ・・・・じゃあ?」
天狗丸の顔が期待に輝く。
「とは言ってもわしにもイメージちゅうものがある。冷酷非情、ハードボイルドを売りにしているわしが、孫娘を下級神にやられて、はいそうですか、とお咎め無しでは、サタンやルシフェルに示しが付かんのじゃよ」
「で・・・・では、やはり・・・・」

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