《MUMEI》

ハデスの声に憐れみのようなものが滲(にじ)む。
確かに大地が裂け、山の地形さえも引っ切りなしに変わるような戦闘の中で、人の存在はあまりにも無力だ。
嵐の海で弄ばれる小船のごとく、ごみのように
死んでゆく人々の姿が映し出される。
だが人も決して無力な
存在とゆう訳では無かった。
この時代の人間はアトランティス文明を築いていただけあって、神達から授けられたテクノロジーを応用して、独自の武器(人間の想念を増幅する飛行兵器など)を開発して、神達の戦闘に参加していたからだ。
奇妙な、エイのような形 をした戦闘機から雷電が
ほとばしり、異形の神の体を粉砕する姿も、時折映像の中で見かけられる。
「そうは言っても人と神ではその進化の度合いのケタが違いすぎる。
兵器などと言っても所詮は蟷螂の斧(とうろうのおの)のようなものじゃ。人などは神にただ運命を弄ばれる、ちっぽけな存在・・・・と、わしも他の神達のように思っておった・・・・。
あの時まではな・・・・。
天狗丸よ。お前もスサノオの名前くらいは知っておろう・・・・」
「高天原(たかまがはら)を海底に沈めて、
前文明を滅ぼしたって言う化け物みたいな野郎の事かい?」
天狗丸も興味を覚え、
閻魔ハデスに尋ねた。
「前から知りたかったんだけど、一体全体そんな狂った野郎の出身て、天津神か俺達国津神か、どっちなんですか?」
「スサノオを生んだのは我ら神の一族にはあらず。人じゃ!無力なる人の中からあ奴は生まれてきたのじゃ!!」
「ええーーっ?!」
「んな馬鹿なーー?!」
天狗丸とダキニがほぼ
同時に叫んでいた。

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