《MUMEI》
〜失った代償〜
「花音!!かのんーーーー!!いやぁぁぁあ!!!」
薄れていく意識の中、美紀の泣き叫ぶ声が聞こえたような気がした・・・

PM:10時
「美紀!!」
バタバタという早い足音とともに、勇気と翔馬が、座り込んでいる美紀に近づいてきた。
「どうなってるんだ!?ちゃんと説明してくれ!!」
勇気は、美紀の肩を激しく揺さぶって、問い詰める。
「落ち着けよ!勇気!!・・・美紀、ゆっくりでいいから、落ち着いて話してくれねぇか??」
慌てている勇気を、翔馬は美紀から離れさせ、優しく聞いてきた・・・ 美紀も、泣きながらも話し始めた・・・
「うっ・・・ひっく!・・・あのね、いつもみたいに、花音と2人で帰ってたの・・・そしたらね・・・ぐすっ・・車が行き成り突っ込んできてねっ・・・花音が轢かれちゃったの!!
今は意識が戻って・・・命には別状ないみたい・・・・」
「よかった・・・命は助かったんだな!?」
「ったく・・・心配させやがって・・・って、どうしたんだよ?美紀・・・」
勇気は、いまだにガタガタ震えている美紀を不審に思ったのか、声をかけた。
「あっ・・・あ・・・うわぁぁぁっ!!!」
美紀は崩れ落ち、その場で号泣し始めた。
「!?どうしたんだよ!?美紀!」
翔馬は慌てて美紀に駆け寄って、肩に手を回した。
「どうしようっ!!!どうしようっ!!・・・私・・・近くに居たのに!!何で私だけが助かっちゃったのよーーー!!うわぁぁぁぁぁあ!!!」
美紀は半狂乱になっていた・・・
勇気も翔馬も、訳が分からないような顔で見ている。
「大丈夫だって!!命に別状ないんだろ!?なら・・・」 「違うのよ!!!」
美紀は勇気の言葉を遮るように叫んだ・・・
「花音・・・両目とも・・・失明しちゃったんだよ!!!二度と見えなくなるかもって!!!・・・うわぁぁぁあああっ!!どうしよう!!!」
「え・・・・?」
勇気は、目の前がかすれた・・・
「両目とも・・・・失明・・・??」

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