《MUMEI》

「白虎(びゃっこ)!
オーラパワーが落ちてきている!これ以上の戦闘の継続は危険だわ!
神からの攻撃に機体が持たない!」
「朱雀(すざく)!一度雲上へ逃れパイローチャナ(太陽光に含まれる宇宙エネルギー)を補給するぞ!」
ヴィマーナの操縦者と思われる二人の男女が、シートの上で急がしく液晶モニターのようなものに指を走らせている。
二人とも肉体にぴったりフィットするスーツを身に付けていた。
スーツは柔軟性を感じさせながらも、どこか金属的な光沢のある不思議な素材で出来ている。
スーツの表面には紋様が描かれていたが、それをもし考古学者が見たとしたなら、遮光器土偶との類似性に驚いたかも知れない。
男は見事な筋肉質な体が浮き上がり、女のほうは成熟した女体のプロポーションが、乳房の先端からへその形までくっきりと浮き上がっている。
「うへーっ!いい女!
たまんないぜーっ!」
思わず叫ぶ天狗丸の尻をダキニがつねりあげたので、
「うひー」天狗丸が悲鳴を上げた。
男の名前は白虎(びゃっこ)。
女の名前が朱雀(すざく)と言うらしい。
円形の部屋の中心に太い透明な柱のようなものがあって、内部では液体のようなものがゴボゴボと煮立ち、中心でサッカーボール大の水晶がくるくると回転していた。
白虎が叫ぶ。
「朱雀!水晶に意識を集中するんだ!
雲上へ跳ぶぞーーっ!!」
途端に柱の中の液体が今まで以上に激しく煮立ち、内部の水晶の回転も早くなる。
機内を白光が包む。

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