《MUMEI》 殺『人』犯の自白人を食べてみたい。 そう思ったのはいつ頃だったろうか。昔から食べる事が大好きな子供だった。 目に映るものは口に入れてみないと気が済まなかったし、落ち着かなかった。きっと口に含む事で初めて見るものへ対しての不安とか恐怖を無くしてたんだと思う。 自分と一体化させる事によって、『初めて』を『知っているもの』に変えていたんだ。あの頃は。 蟻を食べた。苦かった。 犬を食べてみた。硬くてごりっとした。 猫を喰らった。酸味が強かった。 生きているものはとにかく食べた。喰らって喰らって喰らった。 そのうち、生きているものを肉に『加工』する事に快感を覚えるようになっていった。 ひっそりと忍び寄り、後ろから獲物にナイフを突き立てる。何度も何度も突き立て、抉る。 だんだんと形を失っていく何か。迸る血の熱さ。抉る抉る抉る。 この気持ち良さが忘れられないから。 もっと味わいたいから。 『僕』は人を殺すのだろう。 次へ |
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