《MUMEI》

突然の和輝からの告白。

冷静を装っていたけど頭の中はぐちゃぐちゃ・・・。

それから少し和輝とは気まずくなった。

―告白されてから3日後―

そろそろ答えを出さないといけないと分かっていた。

でも迷いがないと言ったらウソになる。悠斗の代わりとして和輝を見てしまうかもしれない。辛い思いをいっぱいさせる。

そんなことを考えながら学校に着くと陽奈が飛びついてきた。

「愛佳、松井君と付き合ってるんやってー。校外学習が終わったあたりから。やっぱ校外学習でカップルができるってジンクス本当やったんやね。」

「・・・・・ぇ。」

「どうした、理香?」

この時の私はどんな顔をしていたのだろう。

本当はこういう結果を心のどこかで望んでいたのかもしれない。

和輝にごめんっていうことができなくてそんなこと出来ないから。

陽奈の言ったことは嘘じゃなかった。学校内で噂が広まり私も偶然見てしまったのだ。

「あっ理香ーー。」愛佳の声だ。隣には悠斗がいた。

「どうしたの?」

「私達ね、付き合うことになったのーー。ね、悠くん?」

「お、おぅ。理香も早く彼氏くらい作れよな。」

「・・・うん。」

今なんて言った?理香って言ったよね。何でリィって呼んでくれないの。リィって私のこと呼ぶの悠斗だけで私の中ではすごく大切だった。

涙さえこぼれなかった。

その日の帰り私は和輝と帰ることにした。

「和輝、こないだの話なんだけどね・・・。」

「うん。」

「私で本当にいいの?」

「もちろんだよ。理香じゃなきゃダメ。」

「・・・こちらこそよろしくお願いします。」

「マジか。嬉しすぎる。」和輝は最高の笑顔を見せてくれた。何にもかえがたい笑顔を・・・。

5月15日。私の忘れられない大切な日となりました。

その日帰ってから和輝から電話があった。

「理香、今大丈夫?」

「うん。」

「ちょっとした約束をしてもいいか?」

「うん。」

「俺は理香のこと一番好きだしこれからも大切にしていきたいと思ってる。でも理香は悠斗のこと・・・。」

「もう悠斗は関係ないよ。私は和輝が・・・。」

「無理して言わなくていい。これから俺のこと少しでも好きになっていってくれたら嬉しい。だから約束。」

「うん。」

「俺はどこにいてもいつでも理香の味方だから。このことを絶対忘れないって約束。」

「約束する。ありがとう、和輝。」

「おぅ。俺、明日朝練あるから寝るわ。」

「うん。」

和輝の心の大きさにビックリした。和輝ならもう私のそばからいなくならないよね。大丈夫と、そう自分に言い聞かせた。

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