《MUMEI》 ―翌日― 少しスカートを短くして髪も巻いてみた。少しでも和輝に好かれるため。 玄関出ると和輝と相川君がいた。何かを話していた。盗み聞きすると 「何で和輝がいるの?」 「理香の彼氏として朝迎えに来たから。」 「彼氏ーー!お前ら付き合ってたのかよ。」 「あぁー。だから俺の理香に手出すなよ。」 「分かったよ・・・。」そう言って相川君は学校に行った。 「ごめーん。和輝。」 「全然いいよ・・・てかスカート短いし髪も・・・。」 「ダメ?」 「ダメ。」 「何で?」 「みんなが理香のこと好きになってしまうから。」照れくさそうに下を向きながら言った。 「何てー?全然聞こえなーい(笑)」ちょっとおちょくってみた。 「マジ可愛いから・・・。」和輝の顔がほんのり赤くなっていた。 私も嬉しくて顔が赤くなった。 今ならはっきり言える。私はこの世界中の誰よりも一番幸せだ。 校門をくぐって昇降口で靴を履き替えていたら 悠斗と愛佳が来た。 「理香ー、おはよう。」朝から甲高い声をあびせてくる愛佳。 「お、おはよう。」 「付き合ってるんだ、和輝と。」 「うん。」 「良かったな。」隣にいた悠斗が言った。どこか寂しそうな顔をして・・・。 私は足早に和輝と教室へ向かった。 教室に2人で入ると陽奈が飛んできた。 「付き合ったんやろ?」 「うん。」陽奈には昨日メールで報告した。 「ええなーー。てか2人ほんまお似合いやわ。」陽奈の関西弁が炸裂。 「何で?廉がいるじゃん。」 「せやけどなーー。」って言って陽奈は照れくさそうに笑った。 ―放課後― 部活でホルン吹いて疲れ切ってる私に遠くの方から手を振っている。和輝だ。 「和輝、今日部活は?」 「今日は早かったんだ。顧問の事情で。」 「そっか。ごめんね、待ったよね?」 「別にいいよ。」 「ありがと。」 「理香、ほら」そう言って和輝は私に手を差し出した。 「うん。」和輝の手がすごく温かくて大きかった。何もかも包み込んでくれそうなくらい。 今思えば和輝はこんな小さな私にとっては大きすぎたのかもしれない。いつも和輝の背中を追うだけで必死でした。 前へ |次へ |
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