《MUMEI》

……考えるのはよそう……惨めな、だけだ。

それより、オレの親がヴェイガー≠フ可能性?

思い当たる節はない……とは言えない。

十六年の間に不思議なことが全《まった》く起きなかったかというと、そうではないからだ。

最近……っていうか昨日だったら、入れられてもない弁当がバッグの中にあった。

「ケータ。ワタシが色々言ったけど、重要なのはルーツとかそういうことじゃなくて、アンタの成長スピードそのものよ」

「それがどう関係ある……?」

「『ソウル』を完全な状態で使用できる。今のアンタは下地ができたってだけで戦力とするには無理があるわ」

「じゃあどうすればいいんだよ」

「自分だけの『ソウル』を完成させるのよ。ロッドなら瞬間移動《テレポート》ってな感じでね」

「能力は自分自身で決めることができるのか?」

彼女は首を横に振るとそうではないと答える。

持って生まれたモノ、自身を取り巻く環境など、様々な要因があり、これまで生きてきた己の集大成が『ソウル』として現れることになるらしい。

「どんな能力になるか、誰にもわからないけど……アンタのことだから期待はできると思う」

そう言って微笑む彼女が、ドス黒く病んでしまいそうなオレの心に射す、一筋の光に思えた。

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