《MUMEI》

「期待ハズレにならないようにする」

ここは一旦気持ちを切り替え、当初の目的である『自分の身を守る』ために、恩恵だろうが何だろうが利用する。

それで結果を出して堂々と元いた世界に帰ってやる。


「よし。それじゃあ早速《さっそく》次の段階、戦闘訓練に入ろう。少しでも早く慣れておいた方がいいからね。ちなみにケータくん、格闘技の経験はあるかい?」

「一応……あります」

過去の嫌な記憶を思い出し、身体が強張ってくる。

この後、ジュードさんの説明にもどこか上の空で、ほとんど頭に入ってこなかった。

かろうじて覚えているのはヴェイガー≠ノ急所は存在しない(即効性や遅効性のダメージを受けない)ことだけ。

そんなのありかよ。

「まずはキアン。キミが相手をしてあげてくれないか?」

「オッケェ〜。やろやろ、ケータちん」

「あ、ああ」


キアンちゃんとオレ以外はその場から距離を取り、いよいよ戦闘訓練が開始される。


「さぁ〜て、じゃあいくよ〜」

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