《MUMEI》 その場で軽快なステップを踏み出した彼女が視界から消え、突然横から現れるや右脇腹狙いの蹴りがくる。 これは腕でブロック。 するとその脚が跳ね上がり、頭部を蹴りにくるがこれも間一髪屈んで避ける――が、次の瞬間バチンと顔面が弾けた。 右の突きをまともにもらい、涙で視界がぼやける。 「……っ」 「ケータちん。キアンの動き見てからじゃ反応できないよ〜? 自分も動きながら相手の気配や動きの先を読まないと〜」 「そ、そうだね」 んなことわかってるけど動きが速すぎんだよ。 でもこのままじゃいいようにボコられるし、どうしたら……あっ、あの方法でいくか。 「もう一度だ」 「いいよ〜、そりゃーっ!」 ――キアンちゃんの素早い攻撃を次々と腕や脚で丁寧《ていねい》にブロックしていく。 思ったとおり、彼女レベルの攻撃を無理にかわそうとするのは自殺行為だ。 かわせそうな時はかわせばいいが、素直にブロックした方が隙《すき》ができない。 「どうだ、キアンちゃん」 前へ |次へ |
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