《MUMEI》

「うん、いいよ〜。休憩休憩〜♪」

「……すみません。休憩します……」

歯が立たない。

特別な力を使われているワケではなく、純粋に格闘技術に差がありすぎる。

仕方がないといえば仕方がないが……、悔しい。


「はぁ……」

みんなと同じ場所はいたたまれないので別の場所に腰を下ろす。

筋肉痛に打撲や擦り傷の痛みも相まって、己の無力さを噛み締《し》める。

事情が分かり、ヴェイグ≠ノ足を踏み入れたのは自分の意志。

なんとかなると思っていたが……蓋《ふた》を開けてみればこのザマだ。

涙が滲《にじ》んできそうになり、そのまま仰向けに寝転がった。



曇り空の中を土手に向かって歩いている。

嫌なことがあると決まってその土手に足を運ぶ。

誰にでも一つや二つ、安らげる場所というのがあるだろう……オレにとっては土手がそれにあたる。

今日も学校で不快な思いをしたため、気晴らしにと思っていたが生憎の天気。

しかも小雨まで振り出し、傘を持ち合わせていないことに気付く。

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