《MUMEI》

現代の神社の狛犬を彷彿(ほうふつ)とさせる、巨大な四ツ脚の人工物らしいロボットが騒々しく駆け抜けていくと、立ち止まり、上空を見上げてガッと顎を開く。
ほとばしった熱線のようなものに黒焦げにされ墜落していく姿の中に、
ご先祖様の天狗一族の姿を見つけて、天狗丸が苦虫を噛み潰した顔になる。



すると巨大なヒトデのようなグロテスクな生物が回転しながら飛んで来て、狛犬の上から貼り付き、四ツ脚の銀色の機体を「ジューッジューッ」と煙りを発して溶かし始めた。
「グオオーーッ!!」
味方だろうか?
額に角を生やした一つ目巨人のサイクロプスが、そのヒトデを力ずくで
引っぱがし、手にしたこん棒でグズグズになるまで叩き潰す。
だが気が付くと、周囲の空間はそのグロテスクな色彩のヒトデ状生物で
あふれかえっていた。
どう見ても敵味方を識別できる知能があるとも思えない怪物達は、次々と神や人に見境なく取りつき始める。
さらには複眼を持ったカマキリのような生物の群れが、巨体に似合わぬ
スピードで辺りの地上を覆いつくすと、新たな
殺戮の火蓋(ひぶた)を切る。それだけでは無い。羽を生やしたムカデのような奴、イモムシの体にたくましい人間の手足を付けた奴など、異形の神は数あれど、明らかに
異質な空気を持つ怪物達が、周りの戦場を支配し始めた。
「ひぃーーっ」
「何だ、この気色悪い奴らは?!滅びた神の中にこんな奴らいたっけ?」
その質問に答えるように閻魔ハデスの声が響いた。
「天津神どもめ、えげつない事をしよって・・・・。き奴らはパンドラの次元に封印した、宇宙の魔物どもを解き放ちおったのだ!!」

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