《MUMEI》 たちまち数人の頭がカマキリに切り飛ばされて宙を舞ったが、人間兵士はひるみもせずに怪物達に向かっていく。 左足を切り落とされた ひとりの兵士は、バランスを崩してくずおれながらも、右手に装着した 筒状の武器からプラズマ火球をイモムシの体に叩きこみ、爆裂させる。 次の瞬間その兵士は頭頂から股間まで真っ二つになって、地面に内臓をぶちまけた。 兵士を殺したカマキリもどきを、他の兵士達がプラズマ火球の集中砲火でずたぼろにした。 先程は人間を馬鹿にした 事を言っていた天狗丸も、アトランティス人達の 勇猛ぶりには感嘆せずにいられなかった。 手足を切り落とされ、ヒトデの吐く粘液で溶かされながらも、命が燃え尽きる瞬間まで抵抗し続けるのだから。 だが残念ながら天狗丸にも戦いの帰趨(きっすう)は見えていた。 イモムシが吐き出す粘糸が兵士達をまとめて 捕らえ、カマキリが真っ二つに切り裂く。 空を漂うクラゲのような怪物が放電して兵士達を焼き焦がしていく。 それらを一例にして地上のあちこちで、怪物達に優勢な殲滅戦(せんめつせん)が展開されていた。 「これは時間の問題か・・・・」 珍しく天狗丸が暗い口調で呟いた時・・・・。 暗雲の下で突如実体化したヴィマーナが、黒い煙りを引きながら、地上を掠(かす)めるように飛び去っていく。 その周囲をたわむれるように光球が飛びかい、 ヴィマーナからは雷電のように念波がほとばしって、光球を捕らえようとしていた。 「白虎と朱雀か!」 ぐんぐん遠ざかるヴィマーナの姿を眼で追いかけ、思わず叫ぶ。 「閻魔大王!ふたりを追いかけてくれー!!」 前へ |次へ |
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