《MUMEI》

左の眼が碧《あお》く、それにこの顔……オレに似ている……っていうかそっくりじゃねぇか! コイツは――

「ドッペルゲンガー……か?」

思わず口走り、警戒心から二、三歩後退してしまう。

自分のドッペルゲンガーを見た場合、自身の死期が近いという噂を聞いたことがある。

「俺はそんなモノじゃあない」

オレと同じ姿をした奴に間を詰められてしまい、

「やっと俺を視認できるまでになったか。いい加減待ちくたびれてたとこだ」

「何言ってんだ? オマエ……誰だよ」

「見てわからないのか? 俺はお前だよ」

「……へぇ〜、オマエがオレなら何で眼の色が違う?」

左眼を指しながら質問すると、彼は含みのある笑いで返し――

「この眼は特別でな。お前には見ることのできないモノが、俺にはハッキリと見える」

「何が見える?」

「確証は無いが、アレは多分ヴェイガー≠フ弱点……急所だ」

「ヴェイガー=c…?」

重要なことを忘れている気がするが思い出せない。

いや、むしろ思い出したくない感じさえするのは何故《なぜ》だろうか。

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